シアーシャ・ローナン(『ブルックリン』『レディ・バード』)

ビリー・ハウル(『ベロニカとの記憶』)

『追想』『追想』

監督
ドミニク・クック
(BBC「嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~」)
原作・脚本
イアン・マキューアン
【「初夜」新潮クレスト・ブックス刊、村松潔(訳)】
監督:ドミニク・クック 原作・脚本:イアン・マキューアン

8.10[金] TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー8.10[金] TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

一生忘れられない恋だった
たった1日で終わった結婚
若い2人の狂った歯車は、止まることはなかった
一生忘れられない恋だった

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『つぐない』に続くシアーシャ・ローナン<アカデミー賞®ノミネート>✕イアン・マキューアン<ブッカー賞作家>待望の感動作!『つぐない』に続くシアーシャ・ローナン<アカデミー賞®ノミネート>✕イアン・マキューアン<ブッカー賞作家>待望の感動作!

INTRODUCTIONイントロダクション

若手女優の筆頭として目覚ましい活躍を見せるシアーシャ・ローナン。近年は『ブルックリン』(15)や『レディ・バード』(17)といった話題作に立て続けに主演し、24歳にしてアカデミー賞®の常連といわれている。そんななか、現代のイギリス文学が誇る新たな傑作へ挑戦することとなったが、その作品とは、長年映画化が熱望されていたブッカー賞作家イアン・マキューアンの「初夜」。大ヒット作『つぐない』(07)以来となるシアーシャとイアンの組み合わせにも、注目が集まっている。さらに、今世紀最も有名なイギリス人作家の1人とされているイアン自らが脚本を手掛け、新たな解釈を加えた展開も見逃せない。

主人公となるのは、結婚式を終えたばかりのフローレンスとエドワード。偶然の出会いをきっかけに恋に落ち、それぞれが抱える問題を乗り越えて強く結ばれていた。結婚式を無事に終えて向かった先は、新婚旅行先のチェジル・ビーチ。そこで幸せの絶頂を迎えるはずだった。ところが、初夜にある出来事が起きてしまい、フローレンスとエドワードの運命が少しずつ狂い始める。幸せを夢見た2人が出した答えとは……。

今回シアーシャが演じたのは、美貌と才能に恵まれたバイオリニストのフローレンス。聡明な女性でありながら、心に闇を抱える難しい役どころを演じ切っている。そして、夫となる歴史学者を目指す純朴な青年のエドワードに抜擢されたのは、英国俳優の注目株ビリー・ハウル。「プラダ(PRADA)」の2016年春夏メンズウェアのモデルとして活躍する一方で、『ベロニカとの記憶』(17)や『ダンケルク』(17)といった作品に出演し、着実にキャリアを積んでいる。そのほか、脇を固めるキャストには、エミリー・ワトソンやアンヌ=マリー・ダフ、サミュエル・ウェストといった実力派俳優たちが揃った。

本作の監督を務めたのは、舞台演出家や脚本家として高く評価されているドミニク・クック。2016年にはベネディクト・カンバーバッチやジュディ・デンチが出演するBBCの人気ドラマ「嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~」で監督デビューをはたしているが、長編映画は今回が初となる。

20代前半の若い男女の揺れ動く心情が、繊細かつ緊迫感を持って描かれている本作。誰もが経験する“ 大人になる瞬間” の儚さと美しさを見事に切り取り、唯一無二のラブストーリーとして完成している。愛するがゆえに生まれてしまうすれ違いには胸を締めつけられるが、最後には静かな波のような感動が押し寄せてくるはずだ。

STORYストーリー

場面写真1

1962年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な空気が社会を包んでいた。そんななか、幸せいっぱいの若い夫婦が誕生する。

カルテットの一員となり、大きな舞台でコンサートを開くことを夢見ていたのは、美しく野心的なバイオリニストのフローレンス。一方のエドワードは、歴史学者になることを目指しながら自由に暮らしていた。まるで接点のなかった2人だったが、ある日偶然出会い、一目で恋に落ちる。

とはいえ、実業家として成功した厳格な父親と過保護な母親を持つ裕福な家庭で育ったフローレンスと、学校の教師を務める父親と脳に損傷を負った母親を抱えるエドワードは対照的な家庭環境。すべてが異なる2人にとっては、さまざまな困難が立ちはだかると思われていたが、フローレンスとエドワードはそれらを乗り越えるほどの深い愛情で結ばれていた。

そしてついに、フローレンスとエドワードは人生をともに歩んでいくことを決意する。結婚式を無事に終え、2人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。幸せに満ち溢れた時間を過ごすはずだった。ところが、味気ないホテルに到着すると、堅苦しい空気に包まれてしまう2人。ホテルの部屋で食事を楽しもうとするものの、初夜を迎える緊張と興奮から、会話は思うように進まず、雰囲気も気まずくなるばかりだった。

いよいよそのときが訪れるも、喜びを抑えきれずに焦るエドワードと不安な様子のフローレンスは、どこかちぐはぐで、うまく噛み合わないまま。ついに結ばれるかと思われたが、なぜかフローレンスはエドワードを拒絶してしまう。フローレンスはホテルを飛び出し、チェジル・ビーチへと逃げていくのだった。エドワードは後を追いかけるものの、2人は激しい口論となり、お互い思ってもいない言葉を口にしてしまうことに。

愛しているからこそ生じてしまった“ ボタンの掛け違い”。それは、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまう。フローレンスとエドワードにとって、生涯忘れることのできない初夜。その一部始終がいま明かされる……。

場面写真2

CASTキャスト

SAOIRSE RONANシアーシャ・ローナン (フローレンス・ポンティング)

1994年、アメリカ、ニューヨーク生まれ。アイルランド人の両親のもとに生まれ、3歳の時にアイルランドへ移住。9歳で子役としてのキャリアをスタートする。映画デビュー作は、ミシェル・ファイファー、ポール・ラッドと共演した、エイミー・ヘッカーリング監督の『I Could Never Be Your Woman』(07・未)。その後、ジョー・ライト監督の傑作『つぐない』(07)にてアカデミー賞®助演女優賞にノミネートされる。『ラブリーボーン』(09)でも高い評価を受け、2010年英国アカデミー賞で主演女優賞にノミネート。2014年にはウェス・アンダーソン監督『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)に出演。その後も多くの話題作に出演し、2016年にはジョン・クローリー監督『ブルックリン』(15)で、英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞®で主演女優賞にノミネート。さらにグレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』(17)では、アカデミー賞®主演女優賞に再びノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞(ミュージカル/コメディ部門)では主演女優賞を見事受賞した。主な映画出演作品は『ハンナ』(11)、『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』(11)、『ビザンチウム』(12)、『わたしは生きていける』(13)、『ロスト・リバー』(14)など。最新の出演作は、ジョージー・ローク監督『Mary Queen ofScots』(18)、マイケル・メイヤー監督『The Seagull』(18)では、本作のビリー・ハウルと共演している。

BILLY HOWLEビリー・ハウル (エドワード・メイヒュー)

1989年、イギリス、ストーク=オン=トレント生まれ。ブリストル・オールド・ヴィック演劇学校で演技を学び、学生時代から複数の作品に出演。2013年には、ブリストル・オールド・ヴィック劇場でハンス・クリスチャン・アンデルセンの有名な作品「人魚姫」を基にしたミュージカル劇でウィル役を演じた。その後TVミニシリーズ「New Worlds」(14)、「Cider withRosie」(15)などのTVドラマに出演。2015年には、ローレンス・オリヴィエ賞を獲得した「ゴースト」のニューヨーク公演に出演。2016年にはブリストル・オールド・ヴィック劇場で公演された「夜への長い旅路」にも出演し高い評価を受ける。最近の出演舞台はヤングヴィック劇場で行われた戯曲で、英国アカデミー賞を受けたジョー・ライトが演出したベルトルト・ブレヒト作の「ガリレイの生涯」。2017年5 月6 日から6月24日まで上演された。映画デビューは『ベロニカとの記憶』(17)。その後クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』(17)に出演。シアーシャ・ローナンと共演した『The Seagull』(18)は、チェーホフの戯曲を基にした作品。また、プラダの2016年春夏メンズウェアでモデルも務めるなど、今後注目のイギリス人若手俳優である。

EMILY WATSONエミリー・ワトソン (ヴァイオレット・ポンティング)

1967年、イギリス、ロンドン生まれ。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでキャリアをスタート。映画デビュー作となったラース・フォン・トリアー監督『奇跡の海』(96)でアカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされ、全米、NYの批評家協会賞など数々の賞を受賞。その2年後『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』(98)で再びアカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞などで主演女優賞にノミネートされ、英国インディペンデント映画賞で主演女優賞を受賞。常に質の高い映画に出演し、演技派の名女優として確固たる地位を得ている。主な映画出演作品は『アンジェラの灰』(99)、『パンチドランク・ラブ』(02)、『レッド・ドラゴン』(02)、『オレンジと太陽』(10)、『戦火の馬』(11)、『アンナ・カレーニナ』(12)、『博士と彼女のセオリー』(14)、『エベレスト 3D』(15)、『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(15)、『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』(16)など。

ADRIAN SCARBOROUGHエイドリアン・スカーボロー (ライオネル・メイヒュー)

1968年、イギリス、レスターシャー生まれ。20年以上、劇場や映画、テレビで役者として活躍。ロイヤル・ナショナル・シアターとロンドンのウエストエンドの劇場で、何度もヒット作品の主役を演じてきた。最近の出演舞台は、ロイヤル・ナショナル・シアターで公演され、高い評価を受けたサム・メンデス演出の「リア王」。同作で道化役を演じた。2011年には、ロイヤル・ナショナル・シアターで「After the Dance」に出演し、ローレンス・オリヴィエ賞の助演男優賞を受けた。スターズの番組、パトリック・スチュワートも出演した「Blunt Talk」では2 シーズンにわたり主役を演じ、シーズン2 は2016年10月に放送された。主な映画出演作品は、『英国万歳!』(94)、『ゴスフォード・パーク』(01)、『堕天使のパスポート』(02)、『ヴェラ・ドレイク』(04)、『あるスキャンダルの覚え書き』(06)、『ヒストリーボーイズ』(06・未)、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(07)、『英国王のスピーチ』(10)、『レ・ミゼラブル』(12)など。

ANNE−MARIE DUFFアンヌ=マリー・ダフ (マージョリー・メイヒュー)

1970年、イギリス、ロンドン生まれ。20年以上のキャリアを持ち、舞台、映画、TVなど多方面で活躍。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『マグダレンの祈り』(02)で注目を浴び、その後も数多くの話題作に出演。ジョン・レノンの母親のジュリア役を演じた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(09)では、英国インディペンデント映画賞で助演女優賞を受賞した。主な映画出演作品は『あるスキャンダルの覚え書き』(06)、『終着駅 トルストイ最後の旅』(09)、『リピーデッド』(14)、『未来を花束にして』(15)など。チャンネル4で放送され、数々の賞を受けたテレビシリーズ「恥はかき捨て」(04)でフィオナ・ギャラガー役を演じ2005年の英国アカデミー賞テレビ部門で主演女優賞を受賞。また、演劇にも数多く出演している。1999年、ヘイマーケット王立劇場で公演された「Collected Stories」に出演し、2000年にローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされた。

SAMUEL WESTサミュエル・ウェスト (ジェフリー・ポンティング)

1966年、イギリス、ロンドン生まれ。アカデミー賞®など数々の賞を受賞した『ハワーズ・エンド』(92)にて、1993年に英国アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされる。その後、多くの出演作で高い評価を受ける。主な映画出演作品は、『キャリントン』(95)、『ジェイン・エア』(96)、『ノッティングヒルの恋人』(99)、『アイリス』(01)、『ヴァン・ヘルシング』(04)、『私が愛した大統領』(12)、『ライオット・クラブ』(14)、『未来を花束にして』(15)など。ドミニク監督作「嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~」(16)など、テレビ番組にも数多く出演している。演劇でも輝かしいキャリアを築いたサミュエル。数々の舞台に立ち、2009年にはのちにトニー賞を受ける「エンロン」のオリジナルキャストとなり、ローレンス・オリヴィエ賞とイブニング・スタンダード・シアター・アワードで、主演男優賞にノミネートされた。2005年からは、シェフィールドシアターの芸術監督を務め、数多くの作品の演出を務めている。

STAFFスタッフ

ドミニク・クック写真

DOMINIC COOKE監 督 ドミニク・クック

1966年、イギリス、ウィンブルドン生まれ。ウォーリック大学を卒業後、1995年からロイヤル・コート劇場で活動を始め、ヴァシリー・シガレヴ作の「Plasticine」(02)とマイケル・ウィン作の「The People Are Friendly」(02)などを演出。その後、2006~2013年の間、ロイヤル・コート劇場芸術監督と最高責任者を務めた。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでは、彼が演出した「シンベリン」(03)、「マクベス」(04)、「お気に召すまま」(05)、「冬物語」(06)が高い評価を受けた。2007年には「るつぼ」を演出し、ローレンス・オリヴィエ賞の演出家賞とリバイバル作品賞を受賞。また、ロリー・ブラックマン作、主演:リチャード・マッデンの「コーラムとセフィーの物語 引き裂かれた絆」(07)を脚色・演出した。テレビ番組監督デビューは2016年。トム・ヒドルストン、ベネディクト・カンバーバッチ、ヒュー・ボネヴィル、ソフィー・オコネドー、マイケル・ガンボンが出演したBBC の人気番組「嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~」のシーズン2は、2017年の英国アカデミー賞テレビ部門でミニシリーズ賞にノミネートされた。2014年には英国女王の新年叙勲者リストに記載され、演技の世界への大きな貢献が認められて、大英帝国勲章(OBE)を授与された。

イアン・マキューアン写真

IAN McEWAN原作・脚本 イアン・マキューアン

1948年、イギリス、ハンプシャー生まれ。今世紀の最も有名なイギリス人作家の1人。ブッカー賞に6度ノミネートされ、1998年に「アムステルダム」(98)で受賞。その他「セメント・ガーデン」(78)、1987年にウィットブレッド賞(現コスタ賞)を受けた「時間のなかの子供」(87)、「愛の続き」(97)、「土曜日」(05)、「ソーラー」(10)、「甘美なる作戦」(12)、「未成年」(14)、そして最新作の「憂鬱な10か月」(16)など多くの作品を執筆。『迷宮のヴェニス』(90・未)、『愛の果てに』(93)、1993年にベルリン国際映画祭で監督賞を受賞したアンドリュー・バーキン監督『ルナティック・ラブ/禁断の姉弟』(92・未)など多くの作品が映画化される中、「贖罪」(01)は『つぐない』(07)としてキーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン出演、ジョー・ライト監督で映画化され、2008年にゴールデン・グローブ賞の作品賞(ドラマ部門)と作曲賞、アカデミー賞®の作曲賞を受賞した。脚本家デビュー作はリチャード・エアー監督『ThePloughman’s Lunch』(83・未)。その後『サワースィート』(88)と『危険な遊び』(93)の脚本を書いた。また、リチャード・エアーの協力を得て、自身の小説「未成年」を脚本化し、エマ・トンプソンとスタンリー・トゥッチ主演で『TheChildren Act』(17・未)として映画化した。2008年には、タイムズ紙の“1945年以降のイギリス人作家ベスト50人” に入り、デイリー・テレグラフ紙の“イギリス文化に最も影響力のあるベスト100人” の19位にランクインする。新作「憂鬱な10か月」(村松潔訳、新潮クレスト・ブックス) は今年5月に出版された。

SEAN BOBBITT撮影監督 ショーン・ボビット

アメリカ生まれのイギリス人撮影監督。『HUNGER / ハンガー』(08)で英国インディペンデント映画賞の技術賞を獲得。『SHAME - シェイム- 』(11)では、ヨーロッパ映画賞のカルロ・ディ・パルマ賞を受賞。その他の作品は、『ヒステリア』(11)、『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(12)、シアーシャ・ローナン出演『ビザンチウム』(12)、『それでも夜は明ける』(13)では、インディペンデント・スピリット賞の撮影賞を獲得、英国アカデミー賞にもノミネートされた。近年の作品は、『奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトゥエ』(16・未)、『ボストン ストロング~ダメな僕だから英雄になれた~』(17)。またこれから公開となる、スティーヴ・マックィーン監督の『Widows』(18)で撮影を担当。

KEITH MADDEN衣装デザイナー キース・マッデン

テレビシリーズ「Peak Practice」(95)で衣装担当の助手としてキャリアを築き始め、以後の10年間、BBCの様々な番組で仕事をし、2006年に「イーストエンダーズ」の衣装デザイナーとなる。その後、『Mr. ホームズ 名探偵最後の事件』(15)、『パーフェクト・プラン』(13)、『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(12)、『センチュリオン』(10・未)、キリアン・マーフィとブレンダン・グリーソン出演の『Perrier’s Bounty』(09・未)など数々の長編映画で衣装デザインを担当。最近手がけた作品は、ヒュー・ボネヴィル、ジリアン・アンダーソン出演、グリンダ・チャーダ監督の『英国総督 最後の家』(18年日本公開)。

DAN JONES作曲 ダン・ジョーンズ

オックスフォード大学で音楽を専攻後、カナダのバンフ・センターでミュージカル劇を学び、ローマの音楽研究所で電子音響作曲を学ぶ。2011年、ジム・ブロードベント出演「Any HumanHeart」(10)で英国アカデミー賞テレビ部門のオリジナルテレビ音楽賞を受賞、エミー賞の主題歌賞と作曲賞にノミネートされた。『アドルフの画集』(02)で初めてアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞。『KURSK』(12・未)ではサウンドデザイン特別審査員賞を受賞した。その他の映画作品は、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(00)、アカデミー賞®短編実写映画賞にノミネート、パームスプリングス国際短編映画祭で審査員賞を受賞した『The Tonto Woman』(08・未)など。近年のテレビ作品は、「嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~」シリーズ(16)、「SS-GB ナチスが戦争に勝利した世界」(17)など。また、ソチとリオのパラリンピック聖火台点火式などイベントのサウンドデザイン・作曲も手掛けている。

KAREN HARTLEY−THOMASメイクアップ&ヘア・デザイナー カレン・ハートレイ=トーマス

20年以上のキャリアを持ち、英国アカデミー賞テレビ部門で3回、エミー賞で2回ノミネートされている。主な映画作品は『ウィークエンドはパリで』(13)、『ゲット・サンタ! 聖なる夜の脱獄大作戦』(14・未)など。テレビシリーズでは、1998年英国アカデミー賞テレビ部門でドラマシリーズ賞を受賞した「Holding On」(97)などを担当。「Charles II : The Powerand the Passion」(03)では、2004年に英国アカデミー賞テレビ部門メイクアップ・ヘア・デザイン賞に初めてノミネートされた。その後、「リトル・ドリット」(08)で、2009年に英国アカデミー賞テレビ部門での2回目のノミネート、エミー賞にもノミネート。また「Any Human Heart」(10)で、再度、英国アカデミー賞テレビ部門メイクアップ・ヘア・デザイン賞にノミネート。同年、ジュディ・デンチ出演「クランフォード」(09)で、エミー賞への2回目のノミネートを果たす。

SUZIE DAVIES美術監督 スージー・デイヴィーズ

『The Children』(08・未)で美術を担当。マイク・リー監督『ターナー、光に愛を求めて』(14)で、アカデミー賞®美術賞と英国アカデミー賞プロダクションデザイン賞にノミネートされ、2015年には、サンタバーバラ国際映画祭で職人賞を受賞。近年では『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』(16)、これから公開となるマイク・リー監督の最新作『Peterloo』(18)を担当している。また、数々の賞にノミネートされた「Othello」(01)や「バーナビ―警部」(00~ 02)など、様々なイギリスのテレビシリーズでも活躍。グラナダテレビの「William and Mary」(03)と「AgathaChristie’s Marple」(06)では予備アートディレクターを務めた。スティーヴン・フライ出演の「Kingdom」(07)と、「Ciderwith Rosie」(15)では美術監督を務めた。

ESTHER YOOヴァイオリン奏者 エスター・ユー

アメリカで生まれ、ヨーロッパで育つ。4歳でヴァイオリンを始め、8歳でデビュー。16歳の時に第10回シベリウス国際ヴァイオリンコンクールの最年少受賞者となり、2012年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールでも最年少受賞者の一人となる。2014~2016年には、BBCラジオ3の新世代アーティストとして選ばれ、BBCプロムスでの初出演を果たす。2017~2018年には、ベルギー国立管弦楽団、ナポリ・サン・カルロ劇場管弦楽団、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団、バンクーバー交響楽団、ベイ・アトランティック交響楽団、ハワイ交響楽団でデビュー公演、そして再びフィルハーモニア管弦楽団や香港フィルハーモニー管弦楽団と演奏する。現在はミュンヘン音楽演劇大学の優秀学士プログラムでアナ・チュマチェンコのもとで学んでいる。

PRODUCTION NOTESプロダクションノート

映画化への道のり映画化への道のりOPEN

イアン・マキューアンの書いた原作「初夜」は今世紀で最も人気を得たイギリスの小説の1つだ。2007年に刊行、ブッカー賞の最終候補作の1つに選ばれ、好評を受けベストセラーになった。しかし、映画界ではしばしばあることだが、映画化されるのにかなりの時間がかかった。

プロデューサーのエリザベス・カールセンは「初夜」が発表される前から、本作の映画化に興味を持っていた。彼女はこう言っている。「イアンのエージェントからゲラ刷りをもらったの。すばらしい文章の物語で、気に入ったわ。シンプルな物語で、登場人物の感情をはっきり表していた。自身の創造的な野望と、性に対しての自身を定義する時期、そして、そういう特定の時期に入った若い女性。その時期が彼女にとってどんな意味があるかが描かれていると思った」

エリザベスは、イアンのエージェント、スティーヴン・ダーブリッジに連絡して映画化に関心があると伝えたが、彼から悲しい知らせを受ける。既にアン・リー監督が映画化する予定だった。

「そのあと、たくさんのプロデューサー、製作会社、監督が映画化を検討したことを知った。映画界はとても狭いから多くの情報が耳に入るの。それで結局、何年も経過した」とエリザベスは言う。

そして2015年、エリザベスはBBCフィルムズの25周年を祝うパーティーで、ダーブリッジに再会した。エリザベスは言う。「私が彼に映画化の件はどうなっているか聞くと、彼は言った。『どうにもなってないよ。どうして? まだ映画化したい?』と。私は『もちろん!』と答えた。その1年後、撮影が始まった」

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イメージ通りの配役イメージ通りの配役OPEN

本作の特徴の1つは、若い主役の2人に大きく焦点を当てている点だ。エドワードとフローレンスが一緒に登場するシーンは、どれも長くて複雑。主に新婚旅行で訪れたホテルの部屋とチェジル・ビーチで物語が展開する。この2人の役のキャスティングは、映画にとって何よりも重要だった。

エリザベスが言う。「私もドミニクも、フローレンス役はシアーシャ・ローナンにしかできないと思った。ドミニクは彼女の知性と、物語についての見識、そして人柄のよさに感動した」

シアーシャ写真

イアンも、シアーシャがフローレンス役を演じることをうれしく思った。イアンの小説「贖罪」を原作とした映画『つぐない』(07)で、シアーシャはブライオニーという重要な人物を演じている。

エリザベスは言う。「エドワード役のキャスティングは、数か月かけて多くの役者を検討して、最終候補者たちを決めていった。シアーシャは当時、ニューヨークで演劇『るつぼ』に出演中だった為、私たちは役者を数人ニューヨークに連れていき、シアーシャと会わせて一緒に台本を読んでもらった。フローレンスとエドワードはすべてのシーンに出るし、2人の関係は物語の核だから、時間をかけて役者を選ぶことは重要だった。ドミニクと私はニューヨークに行き、5人の役者をオーディションした。そしてロンドンでオーディションしたビリー・ハウルを、次の段階のオーディションに呼んだ」

エリザベスは続ける。「映画のテーマの1つは性。1962年当時の若いカップルが経験した問題に真実味をもたらすことが何より重要だった。役者として、そういった部分を表現できる若い男性はなかなかいない。主役級の役者は、どうしてもセクシーなオーラが前面に出てしまい、常に自信たっぷりに見えてしまう。エドワードはそういう役とは正反対の人物。そういう点を考慮してキャスティングする必要があったの。22歳の男性を演じることができると同時に、当時の若者の特徴だった、性に関しての精神的、かつ肉体的な気まずさを表現できる役者を求めていた。オーディションでのビリーの演技は見事だったし、エドワード役に必要な能力があると確信した」

シアーシャは、イアンが生み出した人物を再び演じることに喜びを感じたと言う。「10年ごとに彼の書いた役を演じたい! イアンは女性をとても上手に書く。女性を多くの観点から見ているの。イアンは、若者にかけられる社会的な圧力という問題を、時代を問わずに説いている。人間の生き方と行動が、社会的に許される範囲を逸脱してはならないという圧力。イアンは、そういう問題点をよく作品に取り入れるわ」

また、ドミニク監督が、ホテルのシーンとビーチのシーンもできるだけカットせずに長回しで撮ったことに、シアーシャは喜んでいる。「役者にとってありがたい撮り方。だって現実世界では『カット!』とか『休憩!』とか言われたりしないから。ビーチのシーンは15分間も続くものもあり、ずっとワンカットで撮ったの」

演劇とほぼ同じような演じ方だったと言う。「その数か月前に『るつぼ』に出ていたから、その演劇での演じ方が体に残っていた。ビリーも演劇の教育を受けているし、ドミニクも、そもそも演劇界の人。うまくいく保証はなかったけど、ドミニクが役者たちと撮影監督を信用してくれたおかげで、通常の映画の現場よりも長回しで撮影しようと思えたみたい」

ビリー写真

ビリーはロンドンでの最初のオーディションについて言う。「オーディションは楽しかったけど、そのあと、しばらく製作側からの連絡はなかったんだ。そして突然、連絡が来た。シアーシャがニューヨークで演劇に出演しているから、僕は彼女と一緒に台本読みをするためにニューヨークへ行った。シアーシャに会うのは『The Seagull』(18)の共演以来、約1年ぶりだった。シアーシャと共演できると考えるとワクワクしたよ。イアンの書いた物語と脚本というすばらしい“ 原料” があったからこそ、最初から楽しそうで魅力的な仕事に思えた」

ビリーはさらに続ける。「シアーシャとは1 年間も会っていなかったのに、僕らの相性はとてもよかった。互いを本当に信頼し合っているからこそ生まれる自由な雰囲気があった。役者としての信頼関係だけでなく、人間としての信頼関係。一緒に演技をすると、自然にそう感じることができた」

ビリーは映画の舞台となる時代にも興味をそそられた。「純真な時代だった。スウィンギング・ロンドンが、まだ本格的に始まっていない時代。エドワードはチャック・ベリーのファンで、チャック・ベリーの音楽はロックンロールの原型だ。アメリカからの影響で、当時のイギリス社会がより自由になり始める時代だ。物語の中で、そういう自由な要素がところどころ見えるけど、まだまだ保守的で堅苦しい社会だった。そういう矛盾があるし、エドワードは、ずっとそんな世の中と対立しているのだと思う」

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ドミニク・クック監督の明確なビジョンと構想ドミニク・クック監督の明確なビジョンと構想OPEN

ドミニク監督にとって長編映画デビュー作だが、これまで映画界に縁がなかったわけではない。ドミニクは言う。「私の父は映画の編集者だった。私は編集を手伝って、何かを創造するプロセスを教わった」

とはいえ、長編映画は彼にとって大きな挑戦であったが、彼の頭の中には『追想』の物語のトーンとスタイルについてはじめから明確なビジョンがあった。

「最初の段階では、美術監督のスージー・デイヴィーズ(『ターナー、光に愛を求めて』)の協力を得た。それは、おそらく私が演出家だからだと思う。演出家は、いつもまず美術監督と協力する。我々の話し合いの主なテーマは、若い主役の2人が感じる場違いさだった。その結果、視覚的な色彩が決まった。“世界が変わる直前の世界”という雰囲気を目指した。ビートルズのファーストアルバムが発売される前の年という設定だ。それ以前の社会は1952年とほぼ同じ。そういう雰囲気が欲しかった」

ドミニク監督は撮影監督のショーン・ボビット(『それでも夜は明ける』)と撮影手法についても時間をかけて話し合った。

「なるべく1つのシーンを1つのカメラで撮りたいと考えた。もちろん、より長いシーンには物語を語るために複数のカメラが必要になった。とても面白い挑戦だった。あと、時代の雰囲気を感じさせるために、デジタルではなくフィルムで撮ることにした。フィルムは貴重で限りある資源だから、より慎重に撮影に挑むことになる。デジタルならいくら撮っても気にしなくてもいいが、フィルムの時はそうはいかない。撮り方が大きく異なる」

撮影メイキング

製作チームは、フローレンスが育ったポンティング家、エドワードが育ったメイヒュー家、そしてホテルとビーチの若い夫婦だけのシーン、以上の物語の3世界を、それぞれ違う色彩と撮り方で表現した。

本作は基本的にイアンの原作に忠実だが、脚本の一部分に調整が入った。ドミニク監督が言う。「フラッシュバックシーンの順番を大きく変えた。撮りながら、感情的な面でより自然な流れが見えてきたからだ。観客の注意を大筋からそらすような違和感を与えたくなかった」

ドミニク監督が考える、物語が持つ主なテーマは以下の2つだ。「1つは、自分にそぐわない時代に生まれること。もう1つは人生を決める致命的な決断のこと。イアンは常に、そういう遠い未来までにも影響を与える瞬間、人生を形作る出来事を作品のテーマにしている。自分がいつ生まれたかという偶然があり、それが人生をどう形作るかを語るからこそ、物語は面白くなる。フローレンスとエドワードも、ほんの数年後に生まれていたら、人生は一変していただろう」

サウンドトラックは、ビートルズが「サージェント・ペパーズ」を録音したアビー・ロード・スタジオのスタジオ2 で録音された。「あの歴史のある場所にいると、私は1960年代半ばに起きたすばらしい変化を思い出さずにはいられなかった。かけがえのない時代だった。1960年代はすごく重要な時代だったのだ。人権や平等、すべての点において」とドミニク監督は言う。

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イアン・マキューアン自らの脚本イアン・マキューアン自らの脚本OPEN

イアンは『追想』の脚本を、原作「初夜」の刊行から3 年が経った2010 年に書き始めた。既に作家として長いキャリアを持っていた彼は、映画化の話が持ち上がっては立ち消えになることを何度か経験し、脚本が映画になるまでの長い過程にややうんざりしていた。

「しかし『初夜』が刊行された時、私はこう強く感じてしまった。脚本は書きたくないが、別の者に脚色されるのは耐えられないと」

イアンはシアーシャとビリーの組み合わせもすばらしいと感じている。「エドワードとフローレンスの相性は物語にとって不可欠。彼らはヘンゼルとグレーテルに似ている。森の中に捨てられた世間知らずの子供たちのようだ。初めてのセックスを経験しようとするが、互いを落ち着かせるための言葉を知らない」

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時代と場所時代と場所OPEN

イアンの小説「初夜」は、いろいろな意味で特殊な作品だ。物語の大部分が展開されるのは、フローレンスとエドワードが結婚する1962年だ。つまり新しい若者文化が始まり、西洋世界に性革命が広がる直前である。映画の主な舞台となるチェジル・ビーチも、他の土地では見られないような非常にユニークな場所だ。

衣装デザイナーのキース・マッデンとロケマネージャーのヘンリー・ウーリーら製作チームにとって、本作の舞台となる時代と場所は大きな試金石だった。

キースは言う。「1960年代の始まりはファッション界にもこの物語にも重要な時代だった。10代が大衆文化の中心になる時代の直前であり、ザ・ビートルズが大人気になる前でもあった。若い女性たちのファッションは母親の世代とさほど違わないし、若い男性も父親の世代と同じような服を着ていた。つまり保守的なファッションだった」

フローレンスの“旅に出る時のドレス”は、視覚的にものを言う特別な服にする必要があった。製作チームやシアーシャ・ローナンと相談した結果、キースは彼女の服を“濃いスカイブルー”のドレスにした。

ドレス デザイン画

キースが言う。「あの時代のドレスの色はかなり派手で美しかった。私にとってまさに1960年代前半の色だし、曇った時のことも考慮し、ドレスの色で青い空を表現したかった。中間色は使わず2人がビーチや空に映えるような色、そして、2人の間の劇的な状況をより強く表したいと考えていた。ビリーにはすてきな紺のスーツと白いシャツを着せ、えび茶色のネクタイとカフスボタンをつけたよ。まさに1960年代って感じでね! 私は2人を1950年代から1960年代へとワープさせたかった。2人は新品の服を着て、すっかり大人になったね。あの服が2人にとってファッションの最先端だということを伝えたかった。1960年代に一緒になった2人。フローレンスは、あれほど1960年代らしい服を着ることがなかったし、2人を現代的な夫婦に見せたかった」

フローレンスとエドワードの、長くて感情的、かつ運命的な映画の中心となるシーンはチェジル・ビーチで撮影された。ヘンリーが言う。「ロケハンを行う必要がなかった。独特な場所だし、そのビーチは物語の欠かせない要素だから、絶対にあそこで撮影したいと思った」

チェジル・ビーチ(“ チェジル” の由来は“ 砂利浜” を意味する古英語の単語にある)は特別環境保全地域(SSSI)に指定されている。化石が多く、野生生物にとって重要な場所だ。スタッフは皆、すばらしい映像を撮ろうと努力しつつも、人間の浜に対する影響を最小限にとどめるために細心の注意を払いながら撮影に臨んだ。


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STAFFコメント

小堺一機

完璧なはずだった2人のジグソーパズルの
最後のひとかけらを見つけられない主人公の2人。

夢の後ろにある現実を初めて知る人生の瞬間を
鮮やかに思い出さずにはいられない、美しくも厳しい作品。

まるで美術館を歩いているようだ。老いも若きも必見の一本‼

川井郁子(ヴァイオリニスト)

絵画のような映像と自然、そしてストーリーを絶妙に彩る
1960年代のロックとクラシックが、懐かしい香りを運んでくれる。

自分が歩んできた道を、再び照らしてくれるような美しい映画でした。

小山太一(英文学者、翻訳家)

原作のガラス細工のような危うさを巧みに映像化。

肉体に反逆される知性の震えが、画面から伝わってくる。

山崎まどか(コラムニスト)

悲劇的な一瞬が、一生の想い出になる。

そのセンチメンタルな残酷さが、
青いドレスのシアーシャ・ローナンの美しさが、
実にイアン・マキューアン的。

(順不同・敬称略)

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